

今回お伝えする内容
昼飯代やのお弁当代も本当に経費で落としていいのかを調べてみると、注意事項もあったりして難しいなと感じることもありますよね。
個人事業主と法人では経費の範囲も違うし、僕自身迷う部分も多くありました。
そこで今回は、YouTubeや書籍などで解説されている内容をメインに、個人事業主の食事代金についてよりシンプルでわかりやすくまとめてみたいと思います。
目次
個人事業主の昼飯やお弁当代の食事代金は経費で落とせるの?
そもそも「個人事業主だけど、昼食やお弁当代は経費で落とせるのか?」というギモンについてですが、結論から言うと、経費で落とせます!
個人事業主と法人では経費の扱いに違いはありますが、個人事業主の場合も法人と同様に昼食やお弁当代を経費で落とせるという認識で問題ありません。
重要な点は、それが仕事と関係しているかです。
では、どうやって処理すれば経費になるの?という点ですが、以下の3つの費用のどれかで処理することがポイントです。
1. 交際費
2. 会議費
3. 福利厚生費
個人事業主で経費処理するなら、交際費が一番シンプルでいいかなと思います。
会議費もわりと広範囲で認められますが、会議の内容や議事録など「会議をした」という証拠が必要なので、交際費の方がやりやすい印象です。
それぞれのケースについて細かくみていきます。
交際費として落とすには?
クライアントや従業員と昼食を食べた場合、接待交際費として経費で落とすことができます。
実務的には100均などで売っている、出金伝票の勘定科目に「接待交際費」と書いて、「誰が(代金を支払った者)」、「誰に(クライアント様)」、「いつ(日付)」、「いくら(金額)」を記載しておけばいいようです。
お店からもらう領収書ですが、レシートでも全然大丈夫のようです。理由はレシートの方が詳細が印字されているためのようです。
また、有名な税理士さんの書籍では、領収書がなくても、「誰が(代金を支払った者)」、「誰に(クライアント様)」、「いつ(日付)」、「いくら(金額)」をしっかりとメモ帳などに記載しておくだけでもいいという意見もありました。
「一緒に昼食をとることが接待になるの?」とギモンに感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは大丈夫です。
しかもこの場合、一緒に昼食をとるのがクライアント本人ではなく、クライアントの知人など直接的な取引がない人でもOKのようです。
なぜかというと、直接取引がなくても話をしていたら仕事に関係するような情報を仕入れることができたり、新しい仕事が生まれる可能性も否定できないからです。
一見、ただの遊びや息抜きに見える飲み会やゴルフなどが接待交際費として認められるのも、そういう理由があるからです。
注意点として、交際費として計上するためには割り勘は絶対にダメです。
必ず一緒に昼食をとったクライアントや従業員の分も支払うようにしてください。
理由としては「接待した」という実態が必要だからです。割り勘だと接待にはならないですよね。
会議費として落とすには?
クライアントと会議をしながら一緒にお昼ご飯を食べる…というのはよくあるパターンだと思います。
このときのお弁当代など昼食にかかる費用は、会議費として処理することができます。
会議費に入れるときの大きなポイントは次の3つです。
1. 会議をしたという実態がある
2. 会議に使っていてもおかしくない場所を選ぶ
3. 頻度が多すぎない
まず、「ちゃんと会議をしたよ」という実態がなければいけません。
実際には会議をしていなかったり、一人で昼食を食べていたのに会議と偽るのは絶対にダメです。
議事録など、誰とどんなことを話し合ったのかがわかる証拠のようなものを残すとベストです。
それと、場所にも注意が必要です。
会議しながら昼食をとるなら、会議室を利用するのはもちろんですが、外食するパターンもあり得ますよね。都会の人だとオシャレなお店でランチミーティングしてたりします。
ただ、立ち食い蕎麦とか牛丼屋とか、「そこで会議できるの?」と突っ込まれそうな場所は避けた方が無難だと思います。
「それってただ一緒にメシ食ってただけじゃない?」と思われると、経費で落としたくても落とせなくなります。
一概には言えないですが、ちょっと広めのファミレスとか、会議で使われていてもおかしくない場所を選ぶのがポイントです。
そして、当たり前ですがあくまでも「会議」ということなので、頻度にも要注意です。
例えば毎日「会議で昼食にお弁当を食べたので!」と言っても、「なんか多すぎないか?」と疑われます。
本当にそれは会議なのか、ただ一緒に昼食を食べただけなのか判断が難しいものは、会議費として上げるのも難しくなります。
ここも具体的な基準があるわけではないのですが、経費で落としたいがために不自然なことをするのはよくありませんよね。
週に1回の定例ミーティングがあるから…とかなら大丈夫かもしれませんが、あくまでも自然な範囲にとどめておいた方が良さそうです。
会議費の場合は領収書とかどうするの?となると思いますが、これも交際費と同じようにすればOKです。
出金伝票であれば「会議費」として、内容はできるだけ具体的に書きます。それに対応する議事録なども残してください。
具体的には、レシートでも領収書でも大丈夫ですが、「誰が(代金を支払った者)」、「誰に(クライアント様)」、「いつ(日付)」、「いくら(金額)」はペンで記載しておいた方がいいです。
後に、クレジットカード決済などでも把握しやすと思います。
福利厚生費として落とすには?
福利厚生費として処理することもできます。
会社が従業員に昼食を出す場合もあると思いますが、その場合は3つ条件があります。
1. 現金ではなく昼食そのものを支給すること
2. 半分以上は従業員の負担であること
3. 月に3,500円以内であること
福利厚生費にしたい場合は、従業員や役員への昼食は現物で出すことが最初のポイントです。
もし昼食のお弁当代などを現金で支給した場合でも会社は経費で落とせますが、従業員としては給与になるので所得税がかかってしまいます。しかも、現金支給した相手が役員だった場合は、経費にすることもできなくなります。
なので、福利厚生費にする場合は昼食自体を提供するようにします。
金額については月に3,500円以内なので、正直そこまで多くは出せないですね。
それと、もう1つ注意しないといけないことがあります。
個人事業主の場合、自分や家族分の昼食代を福利厚生費として出すのはハードルが高くなります。
これは「福利厚生」の意味を考えたら分かりやすいと思いますが、要は福利厚生って誰のためなの?という点が重要です。普通は従業員のためですよね。
法人化していれば問題ないのですが、個人事業主の方はご注意ください。
伝票の勘定科目は福利厚生費ですが、法定福利費と間違えないようにします。
法定福利は保険料など会社が負担すべきお金です。食事の補助は法定外福利で、勘定科目は福利厚生費になります。
飲み物代を経費で落とすには?
ここまで昼食について解説しましたが、場合によっては飲み物だけとか、飲み物を昼食と一緒に出すこともあると思います。
結論からいうと、先ほど紹介した昼食の場合と同じです。つまり、事業に関係ある場合は「会議費」「接待交際費」「福利厚生費」など経費で落とすことができます。
逆に、微妙なラインのものは経費で落とせない可能性もあります。
といっても、実際は「これってどうなの?」と迷うケースの方が多いですよね。
いくつか例を出してみますので、参考にしてください。
■飲み物代を経費として落とせるケース
・会議用の飲み物(カフェなどもOK)
・来客用の飲み物
・会社のウォーターサーバー
上記のように、会議のための飲み物や、クライアント・従業員のための飲み物は経費として認められます。
重要なのはあくまでも仕事をする上で必要であるという点です。
この辺は昼食の時と判断のラインも同じと考えてOKだと思われます。
■カフェでの一杯は判断が分かれる可能性も
営業の方だと外に出てカフェで時間をつぶすこともあると思います。
そういうときの飲み物はというと、基本的には経費として認められるケースが多いようです。ただし、あくまでケースによるという点には注意が必要です。
ここらへんの考え方や感じ方は、見る人によっても違いが出てくる可能性があります。
毎日カフェで仕事をする人もいますが、その仕事は単にカフェだと集中できるからそうしているのか、それともカフェに行かないといけない理由があるからなのか、などでも判断は違うと思います。
例えばですが、「自分は毎朝コーヒーを飲むから」という理由でそのコーヒー代を経費処理しようと思っても、さすがにそれは個人的なことなので経費とは言えないですね。
昼食と同じで飲み物代も「節度のある経費計上」として、それは本当に仕事に関係しているのかを心がけるようにしたいですね。
■のどが渇いたときの飲み物は経費ではない
当たり前ですが、生きていたらのどが渇きます。
では、のどが渇いたときに買ったジュースなどは経費で落とせるか、といわれたら、それも無理があるようです。
昼食にも同じことが言えますが、お腹が減ったから買ったごはんは事業と関係ないですよね。
さっきのカフェにも通じる話ですが、あまりにも個人的なものは経費ではないので十分に注意してください。
項目や領収書の管理は?
証拠として、「領収書」や「レシート」保管しておく必要があります。
2023年の10月からは電子帳簿保存法が施行され、領収書はデジタル媒体で保管されるようになります。
現物でずっと保管しておく必要が原則なくなるのはいいのですが、デジタルになるので確認も楽にできてしまう点はしっかりと経費となる領収書やレシートの保管が重要です。
少し曖昧であった経費はできるだけ除外しておくべきだと思います。
税理士さんによっては、紙ベースの領収書やレシートは適当に保管ボックスに年ごとにまとめて入れておけばそれでOKということでしたが、今度はデジタルになるのでそういった大雑把な管理はできなくなる点も注意が必要です。
電子帳簿保存法が導入されれば、それに対応した会計ソフトも今後どんどん増えるはずなので、一度検討してみるのもアリだと思います。
ただし、利用にあたっては税務署へ申請する必要があったり、制度自体への理解が必要であったり、一人で勉強するのはちょっと大変な部分があるかもしれません。
もし分からないことがあったら顧問の税理士へ相談することをおすすめします。
経費で落としたいなら事業のためかどうかに気を付けよう
おさらいになりますが、昼食や飲み物はなんでも経費で落とせるわけではなく、あくまでも事業に必要だからという理由が大切です。
そして、経費で落とすには「会議費」「接待交際費」「福利厚生費」のいずれかで落とします。
個人事業主は福利厚生費で落とすのが難しいため、接待交際費か会議費かで選ぶことになります。
「これって経費で落とせるのかな?」と迷ったときは、それが事業を進めるうえで必要なものなのか、個人的な理由になっていないかどうかを確認する必要があります。
飲食はわりと経費で落とせるものが多い印象ですが、常識的な範囲にとどめておくようにしてください。
頻度や金額、提供する場所などをよく考えた上で経費処理していきたいですね。