退職後は意外と手続きが多くて大変ですよね。期限が決められているものも多いので、焦ることもあると思います。
僕も仕事を辞めた時は、やることがたくさんあってネットで調べたり、役所に問い合わせばかりしたりしていました。そういった面倒な経験もあり、今回は退職後に必要な手続きと期限についてこの記事でまとめてみます!
退職してやるべきことを、簡単にまとめて紹介するので参考にしてみてください。
目次
退職後のやらなきゃいけない手続きを簡単に順番で紹介!
退職後にやらなきゃいけない手続きは基本的に4つです。
やるべきこと | 期限 |
住民税の支払い | 退職日の前後 |
失業手当の受給申請 | 退職して離職票をもらったらすぐに |
年金の切り替え | 退職の翌日から14日以内 |
健康保険の切り替え | 退職の翌日から14日or20日以内 |
これらの手続きをする上で揃えておきたいものは以下のとおりです。
保険証 | 原本が会社にある場合は受け取っておく |
源泉徴収票 | 退職後1ヶ月程度で届く |
離職票 | 退職後1週間~2週間程度で届く |
健康保険資格喪失証明書 | 退職後1週間程度で届く |
年金手帳 | 原本が会社にある場合は受け取っておく |
退職証明書 | 働いていた会社に発行を依頼する |
それぞれの手続きについて順番に紹介していきます。
住民税の支払
まず住民税には2種類の納付方法があります。
特別徴収 | 会社の給与から天引き |
普通徴収 | 自分で納める (6月末に一括で納税するか、4回に分けて(6月・8月・10月・1月)に納付する) |
基本的に退職すると給与天引き(特別徴収)はできなくなり、自分で納付しないといけません。
ただ、退職する月によって処理方法が違うのでここで紹介しておきます。
1. 1月1日~5月31日までの退職
・退職した月に5月分までの住民税が給与天引きされる。この場合は特に自分で続きは不要です。
2. 6月1日~12月31日までの退職
・退職した月までの住民税は給与天引き
・それ以降の月は普通徴収に切り替る
・会社に希望を出せば退職月~翌年5月分を一括で天引きしてもらえる
自分で納付(普通徴収)にする場合は、市役所から家に納付書が送られて来るので、コンビニなどに払いに行けばOKです。
失業手当の申請
失業手当は、退職したらすぐに手続きするのがおすすめです。
理由は、受給資格期間は原則1年間しかなく、これを過ぎてしまうとたとえ給付日数がまだ残っていても手当が受け取れないからです。
手続き方法 | ハローワークにて申し込み |
必要なもの | ・離職票1・2 ・雇用保険被保険者証 ・身分証明書 ・印鑑 ・証明写真 ・本人名義の通帳 |
期限 | 会社より離職票が届き次第すぐ |
失業手当は申請からどれくらいでもらえるのかというと、退職理由が会社都合か自己都合かによって違います。
・会社都合:受給資格の取得から約1ヵ月
・自己都合:受給資格の取得から約3ヵ月
結構時間がかかるので、手続きは早めに行いたいところです。
年金の切り替え
年金は、以下の選択肢があります。
・国民年金へ加入する
・扶養に入る
後半でも紹介しますが、国民年金は基本的に20歳以上で60歳未満であればみんな加入しなくてはいけません。
切り替え期限オーバーになっていても、加入手続きはいずれすることになります。
その際は未納分を払わないといけません。
1. 国民年金
手続き方法 | 役所の窓口で手続き (自分 or 世帯主でもOK) |
必要なもの | ・年金手帳 or 基礎年金番号通知書 ・身分証明書(マイナンバーカードがあればそれだけでOK) ・退職日がわかるもの(離職票、健康保険資格喪失証明書、退職証明書など) ・印鑑 ・通帳、クレジットカード |
期限 | 退職の翌日から14日以内 |
2. 扶養に入る
「扶養に入る」とは簡単に言えば、働いている家族に養ってもらうことです。
扶養に入った家族の保険料は負担がなくなったり、そのほかの税金面でも優遇されたりします。
たとえば、夫がサラリーマンで妻が専業主/夫が会社を設立した という場合だと、妻や子どもは夫の扶養に入ることができます。
ただ、扶養に入れてもらうためには、次のような条件があります。
・退職後の年収が130万円以下
・配偶者が第2号被保険者(サラリーマンや公務員)
配偶者が第2号被保険者でないといけない理由は、厚生年金でなければ扶養がないからです。
厚生年金にはいるのはサラリーマンや公務員のみなので、もし配偶者が個人事業主とかだった場合は扶養はないので注意が必要です。
手続き方法 | 扶養する配偶者が、自分が働いている会社にて手続き |
必要なもの | ・年金手帳 or 基礎年金番号通知書 ・被保険者との続柄がわかるもの(戸籍謄本など) ・退職証明書 or 離職票の写し |
期限 | 退職の翌日から14日以内 |
年金についてはこちらの記事でも詳しくご紹介をしています。
健康保険の切り替え
健康保険については次で詳しく紹介します。
ざっとまとめておくと、以下の選択肢があります。
・任意継続(退職の翌日から20日以内)
・国民健康保険(退職の翌日から14日以内)
・組合の保険
・扶養に入る
任意継続か国民健康保険か迷う人もいるかもしれないですが、扶養する家族が複数人いる場合は任意継続の方がお得になる可能性が高いです。
期限が短いので、忘れないように注意してください。
特に重要なのが健康保険の切り替え!
退職後、健康保険の切り替えには以下のような選択肢があります。
1. 任意継続(退職後20日以内に手続きする)
・2年間は会社で入っていた健康保険に引き続き加入できる
・扶養制度あり
・保険料が全額自己負担になる
・扶養する家族が複数いればこちらがおすすめになるケースが多い
2. 国民健康保険(退職後14日以内に手続きする)
・個人事業主などが入る保険
・扶養制度なし
3. 組合の保険
・自分が個人事業主として働く業種などで入れる可能性がある
4. 配偶者の扶養に入る
・保険料の負担がなくなる
それぞれ具体的な手続きや内容についてみていきます。
任意継続
任意継続は、会社に勤めていたときと同じ健康保険に引き続き加入するものですが、最長2年間という期限付きです。
それと保険料についても注意が必要で、会社で働いていたときは会社と折半だったのが任意継続となると全額自己負担になります。
そう聞くとデメリットしかないようですが、任意継続だと扶養があります。
複数人の被扶養者がいるなら、国民健康保険を選ぶよりお得になるかもしれません。
僕も会社を辞めた時に入ったのが任意継続保険でした。協会けんぽに問い合わせして月々の金額を聞いたら、約2万円ほどだったので国民健康保険と比較するとかなり割安でした。
手続き方法 | ・協会けんぽに加入していた場合→住んでいるところの管轄の協会けんぽ支部 ・健康保険組合に加入していた場合→健康保険組合の事務所 |
必要なもの | ・健康保険任意継続被保険者資格取得申出書 ・住民票 ・印鑑 |
期限 | 退職の翌日から20日以内 |
国民健康保険
任意継続を選ばない場合、原則としてこちらに加入することとなります。
保険料は自分が住む市町村等によって違います。
また、扶養という考え自体が存在しないので、人数分の保険料が発生します。
それと、もし副業等の事業所得がある場合は、それらの所得も合算されてしまうので、かなり保健料が高額になる可能性があるので注意が必要です。
上記でご紹介した任意継続の協会けんぽと、こちらの国民健康保険の市役所に両方、問い合わせをして一度月々の保健料を比較することをおすすめします。
手続き方法 | 役所の窓口で手続き |
必要なもの | ・健康保険資格喪失証明書もしくは退職証明書 ・身分証明書 ・マイナンバーカードもしくは通知カード ・印鑑 |
期限 | 退職の翌日から14日以内 |
組合の保険
特定の業種には組合の保険が存在します。たとえば医師や建設業、美容師などです。
退職後にフリーランスとしてWEBデザインなどクリエイティブな仕事をメインでする場合は「文芸美術国保」という保険があります。
これに加入するには、文芸美術国保に加盟している団体へ加入を認めてもらう必要があります。
それと、仕事の内容がこの国保に加入できるものであることを証明しなければいけません。
たとえばプログラマーとWEBデザインをやっているという場合は、WEBデザインをメインに仕事をしていることが確認されれば加入できるといった感じです。
収入に関係なく保険料が一定で、組合員1人につき月額21,100円、家族は月額11,600円(2022年現在)です。
加入手続きに期限はありませんが、加入しようと思ったら団体へ申し込みが必要です。
申し込みの書式を一式そろえたら審査があり、クリアすれば被保険者となります。
こちらの記事でも、個人事業やフリーランスが入れる組合の保険について紹介しているので、参考にしてみてください。
扶養に入る
こちらも年金の選択と同じで場合によっては扶養に入れます。
もう一度おさらいすると、扶養とは自分の収入で家族を養うことをいいます。
例でいうと、夫がサラリーマンで妻が専業主婦/夫が会社を設立した という場合だと妻や子どもは夫の扶養に入れます。
扶養に入れる条件は以下のとおりです。
1. 退職後の年収が130万円以下
2. 配偶者が第2号被保険者(サラリーマンや公務員)
扶養に入れば自分の保険料負担はなくなります。
ただ、これも年金のところで紹介したとおり、配偶者が第2号被保険者でなければいけないので注意が必要です。
自営業者など第1号被保険者には扶養という考え自体がないので、扶養に入ろうと思っても入ることができません。
手続き方法 | 扶養する配偶者が、自分が働いている会社にて手続き |
必要なもの | ・健康保険被扶養者異動届
次のうちいずれか1種類 |
期限 | 退職したらすぐ |
健康保険に入らないとかできるの?
退職後、「健康保険に入らない」というのはできません。
というのも、日本は「国民皆保険制度」が導入されていて全員保険に入らないといけないルールになっているからです。
「じゃあ健康保険の切り替え手続きをしなかったら??」というところが気になりますよね。
14日以内に手続きできなかった場合は、退職の翌日までさかのぼって国民健康保険の保険料を納めることになります。
14日以内の手続き期間が過ぎてしまった場合については、次でより詳しく取り上げます。
ちなみに、この健康保険というのは主に市町村が運営しているものです。任意で加入する生命保険会社の保険料とは全く別物になるので誤解しないでください。
年金や健康保険の手続きが14日過ぎてしまったらどうなるの?
年金にしても健康保険にしても、14日以内に手続きができなかった場合も結局はあとから手続きが必要になってしまいます。
期限が過ぎた場合、以下の点に注意が必要です。
・退職日の翌日までさかのぼって保険料を支払わないといけない
・将来もらえる年金の金額に悪影響が出るかもしれない
これらの点について、少し深掘りしていきます。
■国民年金への切り替えが遅れた場合
ポイントは以下のとおりです。
・手続きを放置していた場合は、加入手続きをするように通知が来る
・遅れても手続きをすれば未納分をあとから払うことになる
・2年を超えても加入手続きをせず未納が続くと、年金額に影響が出る
手続きをしていなかった期間については、最長で2年間さかのぼって保険料を支払うことになります。
ずっと切り替えをしなくても結局はバレるので、未納が続いた場合は督促状が来ます。
未納状態が続くことで将来もらえる年金額が減る可能性もあります。
年金は納めた保険料の期間などで決まりますが、未納期間はその計算に入れることができませんので要注意です。
■国民健康保険への切り替えが遅れた場合
ポイントは以下のとおりです。
・加入手続きをしていない期間の医療費には保険が効かない
・未加入期間の保険料はあとから払うことになる
・長期の延滞にはペナルティあり
国民健康保険への切り替えをしていない間に病院などに行くと、その治療費が全額自己負担になります。
しかも、結局はその間の保険料も後から支払うことになるので、医療費全額負担+保険料も負担というシビアなことになります。
うっかり手続き期限が過ぎたとしても、気付いたときにすぐ手続きをしに行くことが大事です。
副業などで事業所得がある場合は、住民税の金額に注意が必要。
給与以外の所得がある場合、住民税が重くなるので注意が必要です。
副業をやっていて事業所得があったら、給与にかかる住民税にプラスしてその分は支払わないといけません。
住民税の手続きのところでお伝えしたとおり、1月1日~5月31日までの退職は基本的に給与から天引きされます。
それ以降の退職だと、会社に希望を出さない限りは自分で納めることになります。
どういう選択肢が自分に合っているのか、退職を決めた早い段階で考えておくのがいいと思います。
無職でも確定申告が必要なケースもある。
無職でも次の場合は確定申告が必要となるのでご注意ください。
・年の途中で退職した場合
・すでに年金をもらっている場合
・給与以外の所得がある場合
退職すると働いていた会社での年末調整はできません。
なので、退職した年に受け取っていた給与については自分で確定申告をする必要があります。
また、年金にも課税されるのでもし受給が始まっている場合は原則として確定申告をします。
さらに、会社で働いているときに副業などをして年間20万以上稼いでいた場合は確定申告が必要となります。
退職後やるべき手続きは原則4つ!特に期限は意外と短いので気を付けよう
まとめると、退職したらやらなきゃいけない手続きは原則4つです。
1. 住民税の支払 -退職前もしくは後
2. 失業手当の受給申請 -離職票もらい次第すぐ
3. 年金の切り替え -退職の翌日から14日以内
4. 健康保険の切り替え -退職の翌日から14日もしくは20日以内
また、手続きする上で大事なこととして次のようなことがあります。
・必要書類をなるべく早くそろえる
・手続き期限を厳守する
・手続き期限が過ぎてもあとから手続きを行う(放置しない)
少しややこしい手続きもありますが、まずは役所などで聞いてみると教えてくれると思います。
また、副業している場合や無職であった場合でも確定申告が必要となるケースがあるので注意が必要です。
会社を辞めてすぐは意外と忙しくなってしまいますが、一つずつ終わらせていきたいですね。
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