会社を辞めるときに、退職願を出すのか退職届を出すのかわからなくなりますよね。
今回はそうした経験を踏まえ、それぞれの違いや提出のタイミングなどをまとめてみました。
目次
会社を辞めるときに出すのは「退職届」 「退職願」「辞表」のどれがふさわしい?
退職願、退職届、辞表はどれも似ているようですが実は違います。
退職願
退職の希望を会社へ受け入れてもらうため最初にだすもの
※会社都合による退職は不要
退職届
自分の方で退職が確定して、いつ辞めるかを会社に宣言するもの
辞表
取締役や会社役員が退職の希望を会社へ受け入れてもらうためのもの
それぞれの内容を詳しくみていきます。
退職願の概要
- 自分から会社を辞める意思がある人が会社へ提出するもの
- 会社が規定する期日までに提出する必要がある
- 規程がなければ口頭でも効力は発生する
- 提出する先は直属の上司など
- 提出時は会社で規定がなければ手渡し
- 実際の退職日は上司などと話し合って決める
退職願は、自分が退職しようと決めたときに直属の上司などに提出するものです。
あくまでも退職の希望を会社へ申し出るものなので、これを出すだけで会社を辞められるわけではなく、ちゃんと受理される必要があります。
退職願が受理されて退職日が決まったら、次に解説する退職届を出す流れとなります。
退職日の1ヶ月~2ヶ月前には出すように会社の規則で決められているケースがあるので、その点をふまえて退職の意思を伝えるタイミングを決めていくといいと思います。
退職届の概要
- 会社を退職することが決定後、会社に届け出るためのもの
- 退職願を出したあと、退職する日が確定したら提出する
- 会社が規定する期日までに提出する必要がある(法律上は退職日の2週間前まで)
- 提出する先は上司や人事担当など
退職届は、退職願が受理されたあとで正式に会社との労使関係を終了させるために提出するものです。
会社によっては、退職願は必要なく退職届をそのままだせる場合もあるようです。
退職届の提出先は一般的には上司か人事部で、提出期限については会社の規則を念のため確認をしてみてください。
あとから紹介しますが、法律上では退職の2週間前までに出せばOKとなっています。
しかし、実際は会社に迷惑をかけないためにまずは規定・規則を守るようにするのがベターだと思います。
辞表の概要
- 取締役などが、そのポジションを辞める際に届け出るもの
- 取締役の場合は代表取締役(社長)に提出するのが原則
- 辞めるタイミングは後任選びなども考える必要がある
辞表は会社の社長や取締役がそのポジションを辞める際に提出するものになります。
社長や取締役は普通の従業員とは違って定年がありませんので、自分が「ここまでだ」と思うときまで続けることができます。
基本的にはいつでも辞められますが、後任選びのタイミングなどもあるため、やむを得ない事情があるとき以外は、事業年度の節目などで交代することが多いと思います。
取締役の辞任について、原則は社長の承諾がなくても本人が辞める意思があればそれで辞められますが、一般的には社長にその意思を伝えて辞表を提出する流れとなっています。
会社都合退職の場合、退職願は不要
基本的に、退職願が必要なのは、自ら会社を辞めていく意思があるケースです。
よって、会社の都合で辞めないといけない場合は退職願は必要ありません。
会社都合退職とは、たとえば次のようなものがあります。
- 倒産、解雇
- 大幅な減給
- ハラスメント
- 希望退職への応募
- 退職勧奨
あとで紹介しますが、退職理由によって失業手当の金額などが変わってくるので、退職する理由は明確にしておいた方がいいと思います。
退職願の例文
退職願に書く内容は次の通りです。
- 退職願(一番最初)
- 私儀(わたくしぎ:書き出しとして必要です)
- 希望している退職日
- 所属部署と名前
- 印鑑(押印する)
- 自分の会社名と社長名
西暦を使うか和暦を使うかですが、これはどちらの作成例もあるため正解はないように思います。
注意点として、西暦で書く場合は漢字を使うようにしましょう。
自己都合による退職は「一身上の都合で」としておけば問題ありません。
このあとに「誠に勝手ながら」という文言を入れるケースもありますが、この辺はどっちでもOKだと思います。
自分の所属部署の前に書く日付は、退職願の提出日を書きます。
間違えて辞める日を書かないようにご注意ください。
退職届の例文
内容については、ほぼほぼ退職願と同じです。
違う点としては、
- 退職届(一番最初)
- 確定した退職日を書く
- 「退職いたします」と宣言する
というところです。
メモ
退職願:退職したいという希望を伝える
退職届:退職が確定して辞めることを宣言する
という違いが文章にも出てきます。
辞表の例文
おさらいですが、辞表は取締役が辞めるときに会社へ出すものです。
とはいえ、書く内容は退職願と変わりません。
普通の従業員と違って、取締役は社長などに提出することが多いです。
退職の種類が「自己都合」の場合は失業手当に影響する可能性がある
退職には以下のようなケースがあり、辞めた理由によって失業手当への影響も変わります。
自己都合退職
スキルアップ、年収アップのための退職など
会社都合退職
倒産、解雇、その他ハラスメントや大幅な給与カットで辞めた場合など
希望退職
会社での希望退職の募集に応募して退職する場合
退職推奨
何らかの都合で会社から退職するように勧められて退職する場合
失業手当は、会社都合の退職の方が自己都合よりも手厚くなります。
なので、会社を辞める理由が自己都合なのか会社都合なのか微妙だと思う場合は、ハローワークで確認してもらってください。
自己都合と会社都合では失業手当がどれくらい違う?
それでは具体的に
大きく違ってくるのは、以下の2つです。
給付までの期間
- 自己都合の場合:2ヵ月~3ヵ月の給付制限のあとでもらえる
- 会社都合の場合:最初の失業認定後にもらえる
給付期間
- 自己都合の場合:90日~150日
- 会社都合の場合:90日~330日
ここで、「あれ、金額に差はないの?」と思われるかもしれませんが、失業手当の金額は働いていた時の賃金によって計算され、低かった人の方が多くもらえることになっています。
また、もらえるには上限がありますが、これも退職した理由ではなく年齢によって分けられています。
こちらの記事でも失業手当について詳しく紹介しているので、よければ参考にしてみてください。
退職推奨は安易に自己都合退職にされないように注意!
退職推奨は会社から辞めるように勧められるものですが、原則としては会社都合による退職という扱いになります。
ただ、世の中には会社都合による退職とせずに、自己都合退職ということで処理してしまう会社も存在しています。
もし会社都合による退職なのに自己都合退職とされてしまった場合は、ハローワークで失業手当の手続きをとる際にその旨を説明してみてください。
ただ、残念ながら口頭だけではハローワークも判断できない可能性があります。
できれば、退職推奨をされたときにこっそり録音するなど、会社がどんな対応をしたのかが判断できるような状態にしておくのが望ましいです。
退職届の書き方は横書き?封筒は?
退職届を作成するときのマナーとして、以下の点がポイントです。
- 縦書き、手書き作成が基本
- 会社でテンプレートがある場合はそれを使う
- 封筒は白い二重封筒で郵便番号の枠線がないもの
- 封筒のサイズは長形3号
退職届に限らず、退職願や辞表も基本的には縦書きで書くようにします。
中にはテンプレートがあって、PC入力するように指示される会社もあるかもしれません。
そうしたときは会社のルールに従えばOKです。
会社から何も言われていなければ、縦書きで手書きをするのが一般的です。
使用する封筒についても、退職願・辞表ともに共通で中身が透けないものを選ぶのがマナーとなっています。
それぞれの内容については、先に紹介した例文と同じです。
封筒への書き方の例
表の少し上側に「退職届」と書き、裏の左下に所属している部署と自分の名前を書きます。
退職届を出すタイミングは?
退職届はいつまでに出すのか、以下の2点に注意する必要があります。
- 法律上は退職日の2週間前までに出せばOK(この2週間には土日・祝、退職日もカウントされます)
- 会社の規則で期限が決められているケースがある
これを見ると「どっちが優先されるの?」となるかもしれませんが、より強い効力を持っているのは当然法律です。
だからといって会社の規則にある期限を無視していいわけではないので注意が必要です。
これは会社によっても違うと思いますが、退職の1ヵ月~2ヵ月くらい前までに退職届を出すように決めているのが一般的かと思います。
理由としては業務を他の人に引き継いだり、諸手続きに時間を要するからだと考えられます。
あくまでも会社が決めている独自ルールなので法的拘束力はないですが、辞めるまでは会社の一員ですからルールは守るようにしたいですね。
基本は退職願を出してから退職届!会社の規則も要確認
まとめると、まずは退職願を出して退職する意思を伝え、それが受理されたら退職届を提出します。
退職届を出すと、正式に会社を辞めることになります。
いつまでに出すのかタイミングについては、まず会社の規程・規則を確認してみてください。
退職を希望する日の数ヶ月前には意思を伝えておくのが理想的ですね。
退職届は法律上は退職日の2週間前までに出せば良いとなっていますが、ギリギリになると会社に迷惑をかけることになります。
会社の規則に法的拘束力はありませんが、きちんと守るように心がけたいですね。
そして、退職理由によって失業手当の手厚さが違ってきます。
会社の都合で退職することになるのに自己都合退職とされた場合は、ハローワークに相談しましょう。
そうした事態にならないためにも、退職勧奨の場合などで退職時に会社から自己都合退職とするように言われたら、きちんと断るようにしてください。
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